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化膿性脊椎炎とは?原因から最新の治療法まで徹底解説
化膿性脊椎炎とは?原因から最新の治療法まで徹底解説
【化膿性脊椎炎とは?その原因と症状を解説】
化膿性脊椎炎は、背骨や椎間板の感染症で、多くの場合細菌が原因です。この感染症は、主に血液を通じて背骨に細菌が運ばれることで発生します。例えば、体内に別の感染部位がある場合や、免疫力が低下している場合にリスクが高まります。
代表的な症状には、背中の強い痛みや発熱があります。感染が進むと、動きが制限されることもあります。特に注意すべきは、初期症状が風邪や筋肉痛と似ているため、見逃されやすい点です。早期診断と適切な治療が重要です。
【治療方法:保存療法から手術まで】
化膿性脊椎炎の治療は、感染を抑えつつ、脊椎の機能を守ることが目的です。治療方法は主に保存療法と手術に分けられます。
保存療法では、抗生物質を用いた治療が中心です。感染の原因菌に合わせて適切な抗生物質を選び、数週間から数か月間投与します。治療の効果を確認するために、定期的に血液検査やMRIを行います。特にCRPやESRといった炎症を示す数値の低下が治療成功の目安です。
一方、手術が必要になる場合もあります。例えば、保存療法で症状が改善しない場合や、神経症状が進行している場合、膿瘍(膿がたまった部分)が大きい場合などです。手術では、感染部位の膿を取り除き、必要に応じて脊椎を固定することで安定性を保ちます。現在では低侵襲脊椎手術MISTが普及しており、高齢の患者さんに足しても低侵襲な手術が可能となってきています。
【治療評価に役立つCRPとESRの検査とは?】
治療中の効果を評価するために、CRP(C反応性蛋白)とESR(赤血球沈降速度)という血液検査が使われます。この2つの検査は、体内の炎症の程度を測るものです。
CRPは感染や炎症が起こると急速に上昇し、治療が効果的なら短期間で正常値に戻ります。一方、ESRはやや遅れて変化し、感染が治癒してもしばらく高い値を示すことがあります。
この違いを利用して、CRPは短期的な治療効果の確認、ESRは長期的な炎症の推移を追うために役立てられます。特にMRIの画像と組み合わせることで、治療の成功度をより正確に判断することができます。
【MRIでわかる化膿性脊椎炎の治療効果】
MRI画像参考文献より
MRI(磁気共鳴画像)は、化膿性脊椎炎の診断や治療効果の確認に欠かせないツールです。MRIを使うと、感染による骨や軟部組織の変化が詳細にわかります。
研究では、治療後のMRI画像を解析した結果、軟部組織の改善がCRPの低下と強く関連し、骨の改善がESRの低下と相関していることがわかりました。一方で、椎間板の変化はほとんど見られず、後遺症として残る可能性が高いとされています。
MRIの結果が血液検査と一致している場合、治療が順調に進んでいると判断できます。しかし、画像所見が悪化している場合や血液検査で異常が見られる場合には、治療法の見直しが必要になることもあります。
まとめ
化膿性脊椎炎は早期発見と適切な治療が重要な病気です。CRPやESRといった血液検査を使いながら、MRI画像を活用することで、治療効果を正確に評価できます。
特に背中の痛みや発熱が続く場合には、早めに医療機関を受診しましょう。この病気の早期発見が、生活の質を保つための第一歩です。
引用文献
Ahn, K.-S., Kang, C. H., Hong, S.-J., Kim, B. H., & Shim, E. (2020). The correlation between follow-up MRI findings and laboratory results in pyogenic spondylodiscitis. BMC Musculoskeletal Disorders, 21(1), 428. https://doi.org/10.1186/s12891-020-03446-4​:contentReference[oaicite:0]{index=0}
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